論文掲載:強磁性半導体(In,Fe)Asの磁化過程の解明

光電子分光を専門としている東京大学藤森研究室と共同で、X線磁気円二色法を用いて、強磁性半導体(In,Fe)Asの磁化過程を解明した研究成果がPhys. Rev. B誌に出版されました。

S. Sakamoto, L. D. Anh, P. N. Hai, G. Shibata, Y. Takeda, M. Kobayashi, Y. Takahashi, T. Koide, M. Tanaka, and A. Fujimori, “Magnetization process of the n-type ferromagnetic semiconductor (In,Fe)As:Be studied by x-ray magnetic circular dichroism”, Phys. Rev. B 93, 035203/1-6 (2016).

今回の論文では、マクロな強磁性が出現する前に(TC)、強磁性なナノ領域が存在し、キュリー温度に近づけるとその密度が増えて、最後にナノ領域同士が繋がることでマクロな強磁性が発生している過程を明らかにしました(下図参照)。

Magnetic domains

 

応用物理学会スピントロニクス研究会第4回英語講演奨励賞

下記の発表が2015年秋期応物学会の英語講演奨励賞を受賞することが決定致しました。本賞は応用物理学会スピントロニクス大分類において英語講演 を行った学生講演者の中から、各中分類で最も素晴らしい発表をされた学生に送られる賞です。今回はGaFeSb真性強磁性半導体におおいて、世界で初めて室温を超えたキュリー温度を実証した研究成果が評価されます。

*Tu Nguyen, Nam Hai Pham, Duc Anh Le, Masaaki Tanaka; “High-temperature ferromagnetism in heavily Fe-doped ferromagnetic semiconductor (Ga,Fe)Sb”; 第76回応用物理学会秋期学術講演会; 16a-3A-10; 名古屋国際会議場; 2015年9月16日.

Pham研が開発した精密温度制御用直流安定電源回路の設計図を公開

Pham研が開発した精密温度制御用直流安定電源回路の設計図を公開しました。非商用の研究開発、教育に利用していただけます。

今回に開発した電源は市販品の半分以下のコストおよび半分以下の面積とコンパクトの電源です。600Wの電源を1Uラックに2台設置できます。

WS000000

 

論文掲載:絶縁的強磁性半導体(Al,Fe)Sbの実現

下記の論文がAppl. Phys. Lett.誌に出版されました。

Le Duc Anh, Daiki Kaneko, Pham Nam Hai, and Masaaki Tanaka, “Growth and characterization of insulating ferromagnetic semiconductor (Al,Fe)Sb”, Appl. Phys. Lett. 107, 232405/1-4 (2015).

今回の論文では、スピンフィルタとして動作可能な絶縁的な強磁性半導体(Al,Fe)Sbを実証しました。これによって、鉄系強磁性半導体はn型、p型および絶縁タイプのすべてが実現できました。(従来のMn系強磁性半導体では、p型強磁性半導体しか実現できませんでした)。

研究室の新メンバー

スペインからJSPS外国人特別研究員の BUI CONG TINH博士が本研究室に入りました。

論文掲載:磁性半導体におけるスピノダル分解

日欧研究者と共著で下記のレビュー論文を発表しました。

T. Dietl, K. Sato, T. Fukushima, A. Bonanni, M. Jamet, A. Barski, S. Kuroda, M. Tanaka, Pham Nam Hai, H. Katayama-Yoshida.

“Spinodal nanodecomposition in semiconductors doped with transition metals”

Rev. Mod. Phys. 87, 1311-1377 (2015).

今回の論文にPham准教授が過去の研究成果を元に第三章のGaMnAsにおけるスピノダル分解とMnAsナノ微粒子の形成およびそのスピン依存伝導特性・磁気光学特性を担当しました。

論文掲載:強磁性半導体量子井戸における「波動関数制御による磁性変調」の初実証

下記の論文がPhys. Rev. B (Rapid communication)誌に出版されました。

L. D. Anh, P. N. Hai, Y. Kasahara, Y. Iwasa, Masaaki Tanaka, “Modulation of ferromagnetism in (In,Fe)As quantum wells via electrically controlled deformation of the electron wave functions”,
Phys. Rev. B 92, 161201(R)/1-5 (2015).

今回の論文は約10年前に理論的に提案された技術「波動関数制御による磁性変調」を波動性の強い(In,Fe)As量子井戸を含む電界効果トランジスタ構造において実証した研究成果です。本実証によって、従来に磁性変調に必要とする面キャリア密度の変調量1012~1013 cm-2から1011 cm-2までに大幅に削減し、超高速と超低消費電力の磁化スイッチング技術に応用できると期待しています。

本研究に関する受賞履歴はこちらです。

*2015年先端技術大賞、ニッポン放送賞(学生)

*2014年応用物理学会秋季学術講演会の「講演奨励賞」(学生)

*応用物理学会スピントロニクス研究会第1回英語講演奨励賞(学生)

論文掲載:強磁性半導体のキュリー温度の新世界記録

下記の論文がPhys. Rev. B誌に出版されました。

N. T. Tu, P. N. Hai, L. D. Anh, M. Tanaka, “Magnetic properties and intrinsic ferromagnetism in (Ga,Fe)Sb ferromagnetic semiconductors”, Phys. Rev. B 92, 144403/1-14 (2015).

今回の論文は(Ga,Fe)Sbの新型強磁性半導体において、低温MBE結晶成長技術を駆使し、Fe濃度を20%まで増やすことができました。それにと伴い、キュリー温度が大幅に増大し、現時点では230 Kという新世界記録を達成しました。鉄系強磁性の高いポテンシャルを見せつけた研究成果です。

GaFeSb_AHR

様々な(Ga1-x,Fex)Sbにおけるアロットプロット法によるキュリー温度(TC)の見積。Fe濃度が20%のサンプルにおいて、今までの最高記録(200 K)を超えた230 Kのキュリー温度が得られた。

研究室の新メンバー

中国の東北大学物理学科から当研究室に胡天翔(コテンショウ)君が新M1として入学しました。

論文掲載

下記の論文がAppl. Phys. Lett.誌に出版されました。

P. N. Hai, M. Tanaka, “Memristive magnetic tunnel Junctions with MnAs nanoparticles”, Appl. Phys. Lett. 107, 122404/1-5 (2015).

今回の論文はMnAsナノ微粒子を含むトンネル磁気接合において、TMR効果とMemristance効果が同時に存在していることを示した。同じMTJ素子でMemristive効果とTMR効果を両方利用すれば、多ビットのメモリ素子に応用できると期待できる。

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