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Category Archives: 論文

論文掲載:米国Western Digital社との共同研究成果

米国Western Digital社との共同研究成果がIEEE Transactions on Magnetics (Early Access)に掲載されました。

J. Sasaki, H. H. Huy, N. H. D. Khang, P. N. Hai, Q. Le, B. York, X. Liu, S. Le, C. Hwang, M. Ho, H. Takano, “Improvement of the effective spin Hall angle by inserting an interfacial layer in sputtered BiSb topological insulator (bottom)/ferromagnet with in-plane magnetization”, IEEE Transactions on Magnetics 58, 3200404 (2022), doi: 10.1109/TMAG.2021.3115169.

今回の成果では、BiSbと磁性体界面にRuを挿入することで、スピンホール効果によるスピン注入効率が向上したことを報告しています。

論文掲載:Si基板上のトポロジカル絶縁体による超低電流磁化反転に成功

Si基板上のトポロジカル絶縁体BiSbによる超低電流磁化反転に成功した研究成果がApplied Physics Letters誌に掲載されました。

Tuo Fan, Nguyen Huynh Duy Khang, Takanori Shirokura, Ho Hoang Huy, Pham Nam Hai, “Low power spin–orbit torque switching in sputtered BiSb topological insulator/perpendicularly magnetized CoPt/MgO multilayers on oxidized Si substrate”, Appl. Phys. Lett. 119, 082403 (2021).

トポロジカル絶縁体は高いスピンホール効果を示し、次世代SOT-MRAMのスピン流源として注目されていますが、今までは主にIII-V族半導体やサファイア基板など、単結晶基板の上にエピタキシャル製膜したBiSb膜しか性能評価されませんでした。今回にデバイス応用に適する酸化Si基板の上にスパッタリング法で製膜したMgO (10nm) / Pt(0.8nm) / Co(0.6nm) / Pt(0.8nm) / BiSb (10nm)構造において、比較的に高いスピンホール角(2.4)と電気伝導率(1.0 x 105 Ohm-1m-1)のBiSb膜を用いて、高い垂直磁気異方性(4.5 kOe)の磁性膜の磁化反転に成功しました。本成果はBiSbトポロジ絶縁体が実用的なスピン流材料であることを実証しました。

論文掲載:アモルファス合金YPtのスピンホール効果の起源を解明

アモルファス合金YPtのスピンホール効果の起源を解明した研究成果がApplied Physics Express誌に掲載されました。

Takanori Shirokura, Kou Fujiwara and Pham Nam Hai, “Spin Hall effect in amorphous YPt alloy”, Appl. Phys. Express 14, 043002 (2021).

スピンホール効果は一般に散乱によって生じる外因性スピンホール効果とバンド構造のベリー位相による内因性スピンホール効果がありますが、原子レベルの規則性が無いアモルファス合金におけるスピンホール効果の起源は今までよく理解されていませんでした。本研究では、アモルファス合金YPtにおいて、世界で初めてアモルファス合金でもベリー位相による内因性スピンホール効果が存在しえることを明らかにしました。また、YPtはアモルファス状にもかかわらず、スピン拡張がPt合金よりも3倍が長いことが分かった。

論文掲載:n型強磁性半導体(In,Fe)Asの光電子分光

東京大学と他の国際機関との共同研究で、n型強磁性半導体(In,Fe)Asの光電子分光に関する研究成果がPhysical Review B誌に掲載されました。

Masaki Kobayashi, Le Duc Anh, Jan Minár, Walayat Khan, Stephan Borek, Pham Nam Hai, Yoshihisa Harada, Thorsten Schmitt, Masaharu Oshima, Atsushi Fujimori, Masaaki Tanaka, Vladimir N. Strocov, “Minority-spin impurity band in n-type (In,Fe)As: A materials perspective for ferromagnetic semiconductors”, Phys. Rev. B 103, 115111 (2021).

本研究により、n型強磁性半導体(In,Fe)Asのバンド構造を明らかにしました。特に電子が予測通りに伝導帯に滞在し、またバンドギャップ中にFeの不純物バンドも観測されました。

論文掲載:面内磁化反転の新しい検出方法の提案と実証

スピン軌道トルクを用いた面内磁化反転の新しい検出方法の提案と実証に関する研究成果がApplied Physics Letters誌に掲載されました。
Nguyen Huynh Duy Khang, Pham Nam Hai, “Spin–orbit torque as a method for field-free detection of in-plane magnetization switching”, Appl. Phys. Lett. 117, 252402 (2020).

垂直磁化の単膜磁性体の磁化反転の検出は異常ホール効果が用いられています。しかし、面内磁化膜の場合、反転の検出方法がありませんでした。そこで、磁化反転の後に、面内に磁場を印加して、プレナーホール効果を測定する方法がありますが、磁場印加が必要でした(米国ウェステンデジタル社が提案した方法)。本研究では、面内磁化反転の後に、スピン軌道トルクを用いて、磁化を少し傾けることで、外部磁場印加をしなくても、磁化反転を検出できる方法を提案し、実際に磁化反転の検出を実証しました。本方法は磁気抵抗メモリや磁壁駆動磁性細線メモリの研究開発に応用できると期待できます。

論文掲載:強磁性半導体の磁化機構の解明

日本原子力研究開発機構、東京大学、京都産業大学との共同研究で、強磁性半導体物質GaMnAsの磁化機構を解明した研究成果がJournal of Applied Physics誌の注文論文として掲載されました。

Yukiharu Takeda, Shinobu Ohya, Pham Nam Hai, Masaki Kobayashi, Yuji Saitoh, Hiroshi Yamagami, Masaaki Tanaka, and Atsushi Fujimori, “Direct observation of the magnetic ordering process in the ferromagnetic semiconductor Ga1-xMnxAs via soft x-ray magnetic circular dichroism”, Journal of Applied Physics 128, 213902 (2020).

GaMnAsは最初に合成された強磁性半導体でありながら、その磁化機構が長い間に論争になっています。特に、磁化が空間的に均一としたZener p-d交換モデルが信じられてきました。今回の研究では、X線磁気円二色法を用いて、高温から温度を下げながら、磁化過程を測定しました。その結果、キュリー温度以上の高い温度領域から局所的に超常磁性領域が出現し、キュリー温度温度以下でグローバルな磁化が出現したという非均一な磁化過程を明らかにした。従って、GaMnAs中のMn原子が均一に分布しても、磁化が決して均一ではないことが分かります。

レビュー論文掲載

トポロジカル絶縁体におけるスピンホール効果のレビュー論文がJournal of the Magnetics Society of Japanに掲載されました。

Pham Nam Hai, “Spin Hall Effect in Topological Insulators”, J. Magn. Soc. Jpn. 44, 137-144 (2020).

論文掲載:Si基板上のトポロジカル絶縁体による超低消費電力磁化反転の実証

Si基板上に製膜したトポロジカル絶縁体BiSbによる超低消費電力スピン軌道トルク磁化反転の実証に関する研究成果がScientific Reports誌に掲載されました。

Nguyen Huynh Duy Khang, Soichiro Nakano, Takanori Shirokura, Yasuyoshi Miyamoto & Pham Nam Hai, “Ultralow power spin–orbit torque magnetization switching induced by a non-epitaxial topological insulator on Si substrates”, Scientific Reports 10, 12185 (2020). 

BiSbトポロジカル絶縁体は当研究室が開発した世界最高性能のスピン注入源であり、次世代の不揮発性メモリと期待されているスピン軌道トルク磁気抵抗メモリ(SOT-MRAM)の実現に大変有望な材料ですが、III-V族半導体基板上に成長しないと単結晶ができないという問題がありました。そこで、本研究では、Si基板上に、製膜したBiSbの性能評価を行いました。その結果、Si基板上のBiSbは単結晶でなくても、従来の重金属や他のトポロジカル絶縁体より1桁~2桁高いスピンホール角を確認でき、さらにCoTbフェリ磁性体を0.07 MA/cm2という世界最小の電流密度で磁化反転の実証に成功しました。さらに、10 nsというDRAM並みの高速書き込みにも成功しました。

論文掲載:(In,Fe)Asの室温強磁性の達成

GaAsオフ基板上に(In,Fe)Asを結晶成長させ、オフ基板表面の原子ステップにFeが集まりやすい現象を利用して、室温強磁性を達成した研究成果はJapanese Journal of Applied Physics誌に掲載されました。

Pham Nam Hai, Munehiko Yoshida, Akihide Nagamine and Masaaki Tanaka, “Inhomogeneity-induced high temperature ferromagnetism in n-type ferromagnetic semiconductor (In,Fe)As grown on vicinal GaAs substrates”, Jpn. J. Appl. Phys. 59 063002 (2020).

本研究によって、Pham准教授が提言してきたすべての鉄系強磁性半導体, (In,Fe)As, (Ga,Fe)Sb, (In,Fe)Sbの室温強磁性を達成しました。

論文掲載:高品質なトポロジカル絶縁体のスパッターリング成膜に成功

次世代のスピン軌道トルク磁気抵抗メモリ(SOT-MRAM)の純スピン流源として有効なBiSbトポロジカル絶縁体のスパッターリング成膜に成功した研究成果はJapanese Journal of Applied Physics誌に掲載されました。

Tuo Fan, Mustafa Tobah, Takanori Shirokura, Nguyen Huynh Duy Khang, and Pham Nam Hai. “Crystal growth and characterization of topological insulator BiSb thin films by sputtering deposition on sapphire substrates”, Jpn. J. Appl. Phys. 59, 063001 (2020).

トポロジカル絶縁体の表面にはDirac電子のような分散を持つ状態があり、そこから極めて高い効率でスピン流を生成できることは近年に分かった。特に、当研究室が発見したBiSbトポロジカル絶縁のスピンホール効果は他の材料を凌駕した性能を示しています。しかしながら、トポロジカル絶縁体は一般的に分子線エピタキシャル結晶成長法(MBE法)で成膜されています。このMBE法は高い結晶性のトポロジカル絶縁体を成膜できますが、量産性が悪くて実際にSOT-MRAMの製造プロセスに使われていません。そこで、本研究で量産性が良いスパッターリング法でBiSbを成膜し、高い電気伝導率と金属的な表面状態を確認しました。これにより、BiSbをSOT-MRAMの製造プロセスに導入できることを実証しました。


図:スパッターリング法を用いて成膜したBiSbの格子像