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論文掲載:磁気熱電効果を取り入れたスピン軌道トルクの精密な測定手法の開発に成功

博士課程の白倉君の磁気熱電効果を取り入れたスピン軌道トルクの精密な測定手法の提案と実証に関する研究成果がApplied Physics Letters誌に掲載されました。また、優れた論文に贈られるEditor’sPickに選出されました。

Takanori Shirokura and Pham Nam Hai, “Angle resolved second harmonic technique for precise evaluation of spin orbit torque in strong perpendicular magnetic anisotropy systems”, Applied Physics Letters 119, 222402 (2021).

今回の研究では、様々な磁気熱電効果を取り入れることでスピン軌道トルクを正確に評価できる方法を開発しました。スピン軌道トルクはスピンホール効果を用いて、磁性体の磁化反転を行う方法です。スピン軌道トルクは従来の方法よりも低消費電力で磁化を制御可能であるため、次世代不揮発メモリの一種である磁気抵抗メモリやマイク口波発振器など、様々なスピントロニクスデバイスヘの応用が期待されています。
低消費電力なデバイスを開発するためにはスピン軌道材料のスピン軌道トルクを正確に評価することが重要ですが、スピン軌道トルクの評価によく使用されている二次高調波法は測定時に発生した様々な磁気熱電効果の影響を受けるという欠点があり、この事実もあまり知られていませんでした。
今回の研究では理論的及び実験的にこの欠点を指摘し、磁気熱電効果を含むより一般化された角度分解二次高調波法を開発することで、より高精度なスピン軌道トルクの評価を可能にしました。本研究により、スピン軌道トルクを用いたデバイス開発及びスピン軌道材料開発が加速されることが期待されます。

熱流と磁場あるいは磁化の存在によって、起雷力が発生できる磁気熱電効果

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