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Category Archives: 論文
論文掲載:室温無磁場で基底状態のスキルミオンの発生に成功
室温無磁場で基底状態のスキルミオンの発生に成功した研究成果はAIP Advances誌に掲載されました。
スキルミオンは空間対称性が破れたバルク磁性体や磁性体/非磁性体界面において発生しうるトポロジカル磁気渦で、サイズが小さいこと微小電流で移動できるため、次世代の不揮発性メモリやBrownian計算機などに利用できると期待されています。しかし、今間ではスキルミオンを発生させるために、磁場をかけたり、外部の刺激によって準安定状態にあげたりする必要がありました。今回の研究では磁性体に垂直磁化膜のMnGa,非磁性体にBiSbトポロジカル絶縁体を使うことで、室温かつ磁場無で、安定なスキルミオンの形成に成功しました。実験では、スキルミオン特有なトポロジカルホール効果を使って検出しました。また、マイクロマグネティックシミュレーションでスキルミオにのサイズが55~80 nmと見積もられて、実験で観測したトポロジカルホール効果を十分説明できることが分かりました。
スキルミオンのエネルギー。S = 0は強磁性状態、S = 1はスキルミオン状態を表す。(a)準安定のスキルミオン(従来)、(b)安定状態(基底状態)のスキルミオン(本研究)。
論文掲載:室温強磁性半導体(In,Fe)Sbの高性能化
室温強磁性半導体(In,Fe)Sbの高キュリー温度化(世界最高の最385 Kを達成)と磁気異方性の向上に関する研究成果がAppl. Phys. Express誌に掲載されました。本研究は東京大学との共同研究です。
(a)Fe 35%添加したInSb半導体におけるキュリー温度の同定(アロットプロット)。キュリー温度が385 Kに達したことが分かる。(b)キュリー温度温度のFe濃度依存性。
論文掲載:室温強磁性半導体(Ga,Fe)SbのXMCDと共鳴光電子分光
論文掲載:Si系ナノサイズのスピンバルブの世界記録更新
論文掲載:Feδドープ強磁性半導体(In,Fe)Sbの超高感度異常ホール効果センサー
修士2年の西嶋君のFeδドープ強磁性半導体(In,Fe)Sbの超高感度異常ホール効果センサーに関する研究成果がJournal of Crystal Growth誌に掲載されました。
ホール効果センサーはエアコンや洗濯機などでセンサーとして多用されています。また、最近に3軸のホール効果センサーがスマートフォンなどに掲載されて、GPSと組み合わせて地図アプリで使われています。今回の研究では、室温強磁性半導体(In,Fe)Sbの「異常ホール効果」を利用した新しいタイプの超高感度異常ホール効果磁気センサーを提案し、その高感度化と高線形化を目指して、Fe元素を局所的に添加するδドーピング法を用いました。その結果、4倍程度の高感度化と高線形化に成功しました。
論文掲載:トポロジカル絶縁体BiSbの成長モード
論文掲載:トポロジカル絶縁体で世界最高性能の純スピン注入源を開発
博士課程のKhang君の研究成果が英国の学術誌Nature materialsに掲載されました。
掲載誌 :
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Nature Materials, 17, 808–813 (2018)
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論文タイトル :
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A conductive topological insulator with large spin Hall effect for ultralow power spin-orbit torque switching
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著者 :
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Nguyen Huynh Duy Khang, Yugo Ueda, Pham Nam Hai
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DOI :
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今回の研究は次世代スピン軌道トルク磁気抵抗メモリの実現に向けた、トポロジカル絶縁体であるBiSbの(012)面方位を用いた世界最高性能の純スピン注入源を開発しました。
スピン軌道トルク磁気抵抗メモリは、スピンホール効果による純スピン流を用いて、高速で書き込みができる次世代の不揮発メモリ技術です。しかし、従来から純スピン流源として使われている白金やタングステンなどの重金属は、スピンホール角が低い(0.1~0.4程度)という問題がありました。本研究では、BiSb(ビスマス/アンチモン)トポロジカル絶縁体薄膜を評価したところ、電気伝導率が金属並みと高い上に、室温でも超巨大なスピンホール角(~52)を示すBiSb(012)面を発見しました。さらに今回、BiSb(012)の薄膜を用いて、従来よりも1桁~2桁少ない電流密度でMnGa(マンガン/ガリウム)垂直磁性膜の磁化反転を実証しました。
このBiSbをスピン軌道トルク磁気抵抗メモリへ応用すると、データの書き込みに必要な電流を1桁、エネルギーを2桁低減でき、さらに記録速度を20倍、記録密度を1桁向上させられます。
本成果は、トポロジカル絶縁体を用いた場合、特性が優れたSOT-MRAMを実現することで、トポロジカル絶縁体の産業応用のきっかけになる可能性があります。
トポロジカル絶縁体を応用した高性能磁気メモリが実現できれば、組み込みメモリ(SRAMやFLASH)やワーキングメモリ(DRAM)の置き換えができることから、電子機器の省エネルギー化というインパクトがあるだけでなく、5~10兆円の新メモリ市場の展開も期待できます。今後は、産業界と連携して、SOT-MRAMの早期実用化を目指します。
プレスリリース:トポロジカル絶縁体で世界最高性能の純スピン注入源を開発。次世代スピン軌道トルク磁気抵抗メモリの実現に期待
Press release: A colossal breakthrough for topological spintronics