室温無磁場で基底状態のスキルミオンの発生に成功した研究成果はAIP Advances誌に掲載されました。
スキルミオンは空間対称性が破れたバルク磁性体や磁性体/非磁性体界面において発生しうるトポロジカル磁気渦で、サイズが小さいこと微小電流で移動できるため、次世代の不揮発性メモリやBrownian計算機などに利用できると期待されています。しかし、今間ではスキルミオンを発生させるために、磁場をかけたり、外部の刺激によって準安定状態にあげたりする必要がありました。今回の研究では磁性体に垂直磁化膜のMnGa,非磁性体にBiSbトポロジカル絶縁体を使うことで、室温かつ磁場無で、安定なスキルミオンの形成に成功しました。実験では、スキルミオン特有なトポロジカルホール効果を使って検出しました。また、マイクロマグネティックシミュレーションでスキルミオにのサイズが55~80 nmと見積もられて、実験で観測したトポロジカルホール効果を十分説明できることが分かりました。
スキルミオンのエネルギー。S = 0は強磁性状態、S = 1はスキルミオン状態を表す。(a)準安定のスキルミオン(従来)、(b)安定状態(基底状態)のスキルミオン(本研究)。