巨大な一方向性スピンホール磁気抵抗効果に関する研究成果は米物理協会の雑誌Journal of Applied Physicsに注目論文として掲載されました。
一方向性スピンホール磁気抵抗効果は非磁性体・磁性体の接合において、非磁性体のスピンホール効果によって、接合抵抗が磁性体の180°磁化反転に応じて変化する現象である。この現象を利用すれば、2層だけの極めて簡易な構造の面内型スピン軌道トルク磁気抵抗メモリーの実現が期待できる。しかし、従来研究されてきた重金属・磁性金属の接合においては接合の抵抗変化が0.001 %台と極めて微小であるため、デバイス応用に必要な1%以上の抵抗変化の実現が難しいと考えられてきた。
今回の研究では、スピンホール効果が強いトポロジカル絶縁体と強磁性半導体を組み合わせたことで、従来の3桁高い1.1 %の巨大な抵抗変化を達成した。さらに巨大な一方向性磁気抵抗効果の起源が強磁性半導体中のマグノン励起・吸収とスピン無秩序散乱によって生じることを明らかにした。
プレスリリス:巨大な一方向性スピンホール磁気抵抗効果を実証-従来の3桁高い1.1%の巨大な抵抗変化を達成-
Press release: Paving the way for spintronic RAMs: A deeper look into a powerful spin phenomenon