2021年度の優秀修士論文賞を受賞!
M2の佐々木君の修士論文「Interface Engineering in BiSb Topological Insulator / Ferromagnetic Multilayers」が優秀修士論文賞を受賞しました。2022年3月28日の卒業式に表彰されました。また、佐々木君が令和4年3月修士課程修了者の代表に選出されました。おめでとうございます!
2022年度春季応用物理学会発表:NHK放送技術研究所、サムスン日本研究所との共同研究成果等4件
2022年度春季応用物理学会にて、研究員のKhang氏(NHK放送技術研究所との共同研究)、共同研究者の宗田氏、D2の白倉君、M1のTran君(サムスン日本研究所との共同研究)が下記の発表を行いました。
[23a-E205-2] Angle resolved second harmonic technique for precise evaluation of spin orbit torque in strong perpendicular magnetic anisotropy systems
〇Takanori Shirokura、Pham Nam Hai
[23p-E205-2] 二次元多結晶二硫化モリブデン原子層状膜における超低電流強磁性変調
〇宗田 伊理也、白倉 孝典、ファム ナムハイ、角嶋 邦之、筒井 一生、若林 整
[23p-E205-15] BiSb/NiO/Co接合におけるスピンホール角のNiO膜厚依存性
〇TRAN NGOCVINH、高橋 茂樹、平山 義幸、ファム ナムハイ
[24p-E202-11] Nanosecond ultralow power spin orbit torque magnetization switching induced by BiSb topological insulator
〇Nguyen HuynhDuy Khang、Takanori Shirokura、Tuo Fan、Mao Takahashi、Naoki Nakatani、Daisuke Kato、Yasuyoshi Miyamoto、Pham Nam Hai
論文掲載:スパッタリング製膜したトポロジカル絶縁体膜でスピンホール角>10を達成
スパッタリング製膜したトポロジカル絶縁体BiSb膜でスピンホール角>10を達成した研究成果がScientific Reports誌に掲載されました。
今回の研究では、高配向性BiSbを作製することによって、量産工程でよく使われているスパッタリング法で製膜したトポロジカル絶縁体BiSbでも、高スピンホール角~10.7および高電気伝導率~1.5×105 Ohm-1 m-1を達成し、スピン流源としてよく使われている重金属のWよりも300倍少ない消費電力で磁化反転を実証しました(下記の表の一番右のコラム)。
表:様々な材料のスピンホール角、電気伝導率、スピンホール伝導率、および磁化反転の消費電力(規格化)。
論文掲載:キオクシア株式会社との共同研究成果
キオクシア株式会社との共同研究で、高スピンホール効果と高熱耐久性を両立できるトポロジカルハーフホイスラ合金の一種であるYPtBi合金に関する研究成果がScientific Reports誌に掲載されました。
今回の研究では、トポロジカルハーフホイスラ合金を用いることで、トポロジカル絶縁体と同じ巨大なスピンホール角(最大4.1)を示しながら、600℃にも及ぶ高熱耐久性を実現しました。
図(a)V-VI族に基づいた従来型のトポロジカル絶縁体の結晶構造(左)とそのエネルギーバンド構造(右)。(b)今回の研究対象のトポロジカルハーフホイスラ合金の結晶構造(左)とそのエネルギーバンド構造(右)。(c)スパッタリング法で製膜したYPtBi膜におけるBi組成比の成膜温度依存性。YPtBi膜と磁性体CoPt膜のヘテロ接合膜での、磁化反転の実験における、(d)パルス電流印加シーケンス、および(e)それに対応する磁化反転の結果。青の点は電流に対して平行に0.5kOeの外部磁場を印加した際の、赤の点は反平行に0.5kOeの外部磁場を印加した際の磁化反転の結果に対応している。
プレスリリース:高スピン流生成効率と高熱耐久性を両立する新材料の開発に成功
~超低消費電力な不揮発性メモリの実用化加速へ~
2022 JOINT MMM-INTERMAG国際学会発表
D3のTuo Fan君(現研究員)が2022 JOINT MMM-INTERMAG国際学会発表に下記の発表を行いました。
2022 JOINT MMM-INTERMAG/SESSIONS/GOH – SPIN DYNAMICS
GOH-10 Low power spin-orbit torque magnetization switching in all-sputtered BiSb topological insulator / perpendicularly magnetized CoPt / MgO multilayers on Si substrate
Fan Tuo, Nguyen Khang, Pham Nam Hai
関連論文はこちらです。
論文掲載:強磁性半導体p-n接合における巨大な磁気抵抗効果
強磁性半導体p-n接合における巨大な磁気抵抗効果に関する研究成果がJournal of Applied Physics誌に掲載されました。
本研究では、p-型(Ga,Fe)Sb/n-型(In,Fe)Sb或いはn-型(In,Fe)Asの鉄系強磁性半導体のp-n接合 を作製し、そのスピン依存伝導特性を評価したところ、スピンバルブ効果による負の磁気抵抗効果およびスピン分裂効果による正の磁気抵抗効果を観測した。特に、p-型(Ga,Fe)Sb/n-型(In,Fe)Asの接合では、500%を超える巨大な磁気抵抗効果が実現できた。本研究では、半導体の最も基本的なデバイスであるp-n接合において、巨大な磁気抵抗効果を実現することで、今後の半導体デバイスにおけるスピン機能の導入が期待できる。