強磁性半導体(In,Fe)Asの磁化特性をXMCDを使って測定した研究成果がAppl. Phys. Lett.誌に掲載されました。本研究は高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の小林 正起博士が中心に行った共同研究の成果です。XMCDは基板の反磁性成分を拾えず、Fe従来の信号を選択的に測定できるため、Fe原子の磁性状態を調べるのに最適な方法です。今回の研究では、Fe原子のd軌道とAsのp軌道の混成があることを明らかにした。また、スピンと軌道成分の磁気モーメントの比がFe金属と異なることも明らかにした。さらに、(In,Fe)As内には強磁性領域と常磁性領域が共存することを明らかにし、Pham准教授が提案したdiscrete ferromagnetic domain モデルを支持した結果になる。また、(In,Fe)Asの磁化特性を改善させるためには、より均一にドナーを導入するする必要があることが分かりました。
M. Kobayashi, L. D. Anh, P. N. Hai, Y. Takeda, S. Sakamoto, T. Kadono, T. Okane, Y. Saitoh, H. Yamagami, Y. Harada, M. Oshima, M. Tanaka and A. Fujimori, “Spin and orbital magnetic moments of Fe in the n-type ferromagnetic semiconductor (In,Fe)As”, Appl. Phys. Lett. 105, 032403 (2014).