超高密度磁気記録4 Tbit/in2に向けた新しい磁気センサー技術「SOTセンサー」に関する研究成果がApplied Physics Letters誌に掲載されました。本研究はスト―レージ大手メーカのWestern Digitals社との共同研究の成果です。
従来のTMR効果を用いたTMRセンサーは限界に向かいつつあります。これは、TMRセンサーには、固定層を含み、最低でも2の磁性層が必要なため、20 nm以下の微細なデバイスの作製が困難な他、熱雑音やスピン移行トルク雑音が増大するためです。そこで、逆スピンホール効果を用いるSOTセンサー(図1)を用いれば、TMRセンサーの問題点を解決できます。しかし、SOTセンサーを実現するためには、高いスピンホール効果を有する材料が必要です。従来の重金属を用いると、SOTセンサーの高いSNR比を実現できません。そこで、Pham研究室で開発したBiSbトポロジカル絶縁体を用いれば、高いSNR比を実現できることを理論的に示し、かつその実証を行いました。本研究成果により、超高密度磁気記録4 Tbit/in2の実現が大きく前進します。
図1:SOTセンサーの構造