Home » 論文 » 論文掲載:バイアス磁場不要の超低電流スピンホール型マイクロ波発振器

論文掲載:バイアス磁場不要の超低電流スピンホール型マイクロ波発振器

バイアス磁場不要の超低電流スピンホール型マイクロ波発振器に関する研究成果がJournal of Applied Physics誌に掲載されました。

Takanori Shirokura, Pham Nam Hai, “Bias-field-free spin Hall nano-oscillators with an out-of-plane precession mode”, J. Appl. Phys. 127, 103904 (2020).

スピントルクを用いるマイクロ波発振器はサイズが数10nmと極めて小さく、人工知能やマイクロ波アシスト磁気記録に欠かせないデバイスです。しかし、従来のスピン偏極電流を用いたマイクロ波発振器(Spin torque nano oscillator; STNO)は駆動電流が大きく、信頼性に問題がありました。一方、スピンホール効果によるスピン軌道トルクを用いると、駆動電流が一桁以上小さく抑えることができると知られています。しかし、スピンホール型マイクロ波発振器は発振には磁場印加が必要でした。そこで、本研究では、バイアス磁場の印加無しで発振可能な新しいスピンホール型マイクロ波発振器(Spin Hall nano oscillator; SHNO)を提案しました。これにより、磁場印加が不要かつ超定電流駆動できる信頼性が高いマイクロ波発振器が実現できます。

図(a)磁化を面直方向に歳差運動させることによって、バイアス磁場の印加が必要なくなることを発見。(b) STNOよりも極めて少ない電流で駆動可能。特にスピンホール効果が強いトポロジカル絶縁体を用いると、nAで駆動可能である。

アーカイブ

クイックアクセス